打ち込みと音作りがいい加減な上ビットレートが低いのでバカみたいに聞こえますが実際は割と良い音です

配布元:https://www.meldaproduction.com/MonasteryGrand

 MonasteryGrandはMeldaProductionより2020年6月にリリースされたばかりのピアノ音源です。
 アカウント登録なしで無料で使えますが、MeldaProductionから出ているMSoundFactoryPlayer(無償)または製品版MSoundFactoryをインストールする必要はあります。(これを期に同社によるフリープラグインバンドルもインストールしてしまうといいと思います。)
 配布ページに若干誤認しかねない文言がありますが、実際に含まれるサンプル容量は3.5GB強です。おそらく非圧縮。うち2.4GBが通常のピアノに、1.1GBが同梱の「クリエイティブ版」ピアノに用いられています。サンプル容量は大きいですが、MSoundFactory側に一応メモリ使用量を抑える機能は備わっていなくもないようです。

 出音は割とカッチリしていて明るめ。ポップスやロックに向いていると記述されています。どこのメーカーのピアノかは明記されていませんが、画像を見る限りはベヒシュタインのホフマンでしょう。元々澄んだ出音が特徴のメーカーで、派手な音が出るタイプではないです。「木の響き」とかいわれたりしてるらしい。
 フリーのピアノ音源は割と輪郭がぼやけてたり音がパツパツだったり生音感が無かったりすることが多い中、これはちゃんとベヒシュタインのピアノを弾いてるみたいに聞こえます。なるほどなるほどなかなか良い。
 フリー音源にしては珍しく、3つのマイクによる音源を自在にミックスすることができます(非クリエイティブ版の場合)。マイクAは固めの音、マイクBはやや丸い音で、マイクCはプレイヤー由来と思われるノイズが入り込んでいます(若干やりすぎ感あるが)。こういう選択肢があるだけで大分汎用性がよくなってきますね。
 ただ、少々強弱による表情変化に乏しいことと(元々ベヒシュタインはサンプリングで表情が失われやすいピアノだと思います)、ペダル回りのサウンドが一切入っていないこともあるため、さすがにソロを担当させるには心もとないですね。というかフリー音源にソロでの表現力を求めるもんじゃないですね(注意:私のフリーのピアノ音源知識はPiano Oneで止まっているのであまりあてにしないでください。)

 Editモード(MSoundFactory製品版のみ)でちょいと中を覗いてみますと、サンプルは各鍵盤にベロシティレイヤーが5つずつ割り振られ、かつ同じ鍵盤・ベロシティに対し2個のサンプルをランダムに再生するつくりであることがわかります。レイヤーの不自然な切れ目は感じませんし、わざとらしいラウンドロビン感もないと思います。
 マイクミックスバランス調節以外の音色コントロールはまあ普通というか特筆するものはない感じです。リリースの長さが変えられるのは良いと思います。TONEセクションには色々つまみがありますが、Width以外のコントロールはすべて事実上EQです(Editモードで中身見た)のでそう深刻に考える必要はないと思います。すべてのつまみを中間地点にし、ピアノの蓋を全開にすることでEQが実質無効になります。
 別タブに行けばエフェクトがいくつか揃ってましてこれももちろんMeldaProduction謹製です。リバーブはTurboReverb、コンプレッサーはTurboComp、エキサイターは低域にBassador、高域にDynamicEQが使われており、どれも割とよく効きます。こんな上品なピアノにBassadorとダイナミックEQだなんて……とも思いましたが、控えめな適用だと普通にいい感じになるので悔しいです。

 Monastery Grandには『クリエイティブ版』なるものも同梱されており、これは複数のマイクをミックスする代わりに基音成分とノイズ成分をミックスできるものです。ピアノ音のサンプルを任意にループさせることもできるようになり、アンビエントやシネマティックなサウンドにも対応します。
 レゾネーターとフィルターもかかるようになっており、シンセサイザーや民族楽器を思わせるようなかなり異質な音も出すことができるほか、別タブのエフェクターも増量されてます。レゾネーターのパラメータを全部MAXにするとスピーカーとあなたの耳が吹っ飛ぶので気を付けましょう。

 まあ、私にはサンプリング音源を聞き分ける耳は無いので音質へのコメントは控えておきますが、見たところちょっとした商用音源にも引けを取らないような出来に仕上がっているようですので、お時間とハードディスク容量に余裕のある方は導入してみてもいいんじゃないでしょうか。