曲を作るのはだるいがシンセの音を作るのは楽しいので、そのことをアピールするためにこの記事を書いています。これは嘘。楽しいのは課題をサボってやるBveと友人とのボイチャだけ
星の数ほどあるといわれるフリーシンセのうち、触ったことのあるものに長々と感想文を書いていきます。今回はその第五弾です。そろそろ辞め時がわからなくなってきましたが、きっと「辞め時」という言葉が私の脳内から消えた時が、本当にこのシリーズを辞めるときだと思います。
あんまりマイナーなプラグインばっか扱ってるとアクセス数が伸びないような気がしますが、生憎今回もニッチどころです。あんまり普通のプラグインだったら私が書く意味ないと思うんで仕方ないね。
VST2413(Keijiro Takahashi)
配布元:http://www.keijiro.tokyo/vst2413/

GUIはありません。画像はWaveformでGUIなしプラグインを開いた際の表示を適当に加工したもの。フォントがMSゴシックなのはわざとです。
VST2413に関してはフリーシンセにしては珍しく、(日本国内においては)プラグイン本体よりもその作者のほうが有名です。どうやら一線級のVJであり、Unity開発チームの一員でもあるらしいとのこと。
残念ながら(?)VST2413にUnityと関連する技術が使われているようにはまったく見えませんが、YM2413あるいはOPLLと呼ばれるような、往年のFM音源チップを再現するシンセサイザーです。往年のYAMAHAキーボードのサウンドも再現できるとか。
1.概略
・ある意味80年代90年代を代表するサウンドかも
・80'sのシンプルなFM(位相変調)音源を再現
・プレイヤー版・リズム音源版も同梱
・非ファミコンチップチューン音源として
2.できることとできないこと
元ネタとなったYM2413チップはOPLLと呼ばれ、OPL2というチップの廉価版にあたります。アーケードゲーム機や初期パソコンの拡張カードリッジに搭載されていたようですが、詳しくはググってください。2オペレーターのFM合成ができたり、リズムサウンドを鳴らしたりできるほか、いくつかのプリセットサウンドが搭載されてたりもします。ちなみに上位版であるOPL2の方にも、JuceOPLVSTiというフリーの再現プラグインが存在します。
実機OPLLの機能に関してはhttp://ngs.no.coocan.jp/doc/wiki.cgi/datapack?page=3%2E4+YM2413%28OPLL%29に明るいですが、どうやらこのVST2413ではキースケーラー機能が削られているようで? 一方で、ADSRの具体的な数値刻みとかは実機と同様とされているようですね。恐らく内部でビットレートを下げる処理も入っています。
ともかく、機能的にはDX7から2オペレーターだけ切り出したものに近いです。そしてVST2413には、モジュレータおよびキャリアの波形を上半分だけにする機能が付き、オンオフのみ切り替え可能なビブラートとトレモロが付き、より直感的なエンベロープが付きます。そんな感じ。
波形を上半分だけにするとなかなかエッジの効いた音が出てくれますが、強烈にDCオフセットが乗るので、普通にミックスする際には後段で除去しておくべきでしょう。実機でどういう処理をしているのかは知りません(そのままなんじゃないでしょうかね?)。
シンセとしてエディット可能なのはvst2413sというプラグインで、ほか内蔵プリセットを鳴らす用のvst2413p、リズムを鳴らす用のvst2413rがあります。話によればFMチップのリズム音は迫力に欠けるきらいがあるため、実際にはPSG音源(ファミコンから矩形波以外のパルス波を取っ払ったみたいな音源)と併用されることもあったとかなんとか……。
3.音
うーん正直、どの程度実機に近いかはよくわかりません。FM合成というのはシンプルなアルゴリズムなので、理論上はすべてのFM音源が同じ音を出すとは言われるんですが、やっぱりああいう実機のDACには独特のクセみたいなのがありそうな気がしますし……。多少ビットレートを下げる処理が入っているようではあるんですが、その処理が実機そのままかどうかはよくわかりません。わかりませんわかりませんわかりません! でも何も知らない人には区別できない程度に似ているとは思います。
なんとKVRのOne Synth Challengeのお題に選ばれたことがあります。応募作はさながらチップチューンの様相。しかし2オペレーターのFMシンセであっても本当に多彩な音が出るものですね。実機は仕様の制約上プリセット音色が多用されていたようですが……。
当然のことながら、今となっては非常にジャンル・用途を選ぶ出音です。ファミコンの音とかはポップスでも飛び道具的に入れられるんでしょうが、同じポジションに初期FM音源の音を入れたところでキャラクターが立たないというか……。逆に脇役として曲にうまくハメられたら気持ちよさそうではあります。
4.使い勝手など
GUIが存在しないため、操作性などはDAW側の機能に準じます。DAW上では原則、オンオフのみのスイッチ類も摘みとして表示されるのでわかりにくく感じるかも。
負荷は比較的小さく、Synth1の倍程度です(目測値)。比較的軽いですが、類似プラグインであるJuceOPLVSTiほど軽くはありません(ただしJuceOPLVSTiは若干バグが多いようではあります)。
私の環境では確か2413rに非対応のMIDI CCを投げるとクラッシュしたような記憶がありますが、それ以外はそこそこ安定している部類ではないでしょうか。全幅の信頼を置けるほどではないです。
5.わたしの評価
おすすめ度:★★★★★★☆☆☆☆(6/10)
まあ誰にでも推奨する類のプラグインではないです。完全にチップチューン要員なので。シンセだと思ったときの機能は大したことありません。でも欲しい人は間違いなく欲しいでしょう。もっと欲しい人はPlogueのPortaFMを買うでしょうが。それにしょせんはプラグインなので、本当の意味でのチップチューンを求める人には眼中にすら入らないでしょうが。
前述のように、関係ない文脈でサラッと登場されられれば面白いんでしょうが、ちょっと自分の技量では難しいかもしれません。実際色々な楽器の混ざったチップチューンってよくわからないですね。
Harsh Digital Nose(Insert Piz Here)
配布元:http://www.vst4free.com/free_vst.php?plugin=Harsh_Digital_Nose&id=703

本企画最大のキワモノ枠がやってまいりました。おおよそ楽器のそれとは思えないGUIが特徴です。地球上には「音のPhotoshop」と形容されるプラグインもあるようですが、こちらはむしろ「Photoshopの音」です。絵を描いたり、ぼかしや複製を掛けたりはできますが、生憎範囲選択はできません。
奇妙さという点で、64bit対応のプラグインシンセサイザーでこれを超えるものを私は知りません。あったら教えてください。
1.概略
・Photoshopの音
・画像をオシレーター波形に変換するらしい
・その正体は手書きウェーブテーブル?
・セレンディピティ的なアプローチで音作りができる
・その名の通り、耳障りでデジタル感のあるノイズ……いや、鼻を得意とする。鼻ってなんだ
・フィルターで丸めると意外とまともな音が出る
2.できることとできないこと
Harsh Digital Noseは相互変調可能な2オシレーター+サブオシレーターに、エンベロープの無いフィルターが付く構成です。フィルターエンベロープを付けなかったのは本当に英断だと思うんですが、シリアスな用途を想定するとやっぱり欲しさが否めません。
さて、このシンセのオシレーターは、ラスター画像をウェーブテーブルに無理やり変換するという仕組みで音を鳴らしています。デフォルトでは画像は座標(0, 0), (1, 0)...(255, 0), (0, 1), (1, 1)...(255, 1)のようにスキャンされてゆき、最後に(255, 255)と(0, 0)をつないで一次元のオシレーター波形とします。また、画像上にShift+左/右クリックで、ウェーブテーブルの始点・終点を指定できます(オートメーション可能なように見えますが、実際にはオートメーションできません)。しかしウェーブテーブルの長さを縮めるとその分だけ音のピッチが上がります。どうすりゃいいんだ。原則、輝度はそのまま波形の高さに変換され、色相と彩度は後段のモジュレーションに影響するようです。(このままだと65536サンプルにも上る長大なウェーブテーブルが生成されることになるのですが、それをどのように再生しているのかは謎です)
具体例を挙げますと、例えば上半分が黒、下半分が白の画像は矩形波として解釈されます。そして、上が黒、下が白のグラデーションはノコギリ波として解釈されます。右半分が黒、左半分が白の画像の場合は、元の波形の256倍音として解釈されることになりますので、8オクターブ上の音が鳴ります。なんだそれ。
オシレーター画像の右にある「F」「P」「A」「&」などの小さな摘みでは、周波数変調、位相変調、振幅変調などを行います。どうやら色相・彩度はここに関わっているらしいんですが、具体的にどう関わるかは明らかではありません。まあこれは何も考えずに触るのが正解なんじゃないでしょうか。おそらく、オシレーター1の右にある摘みはオシレーター1と2の間で、2の右にある摘みはオシレーター2と3(サブオシレーター)で変調が行われるんだと思います。オシレーター3に変調させるためにはもう一つ「D」の摘みを回す必要があります。
エンベロープは各オシレーターの音量宛のが一基ずつあり、これを使ってレイヤー風サウンドを作ることができます。機能的には大したことないんですが、工夫次第で様々な表現ができると思います。とはいえ折角多彩な変調オプションがある以上、それらにエンベロープが割り当てられればもっと面白くなりそうな気もしますが……。
3.音
逆にまともな音が出ると思いましたか? しかしほかのマトモなシンセサイザーで作ろうとすると地味に面倒なグリッチサウンドがお絵かき感覚で作れます。これ重要。マーク・ロスコの絵画みたいなのを描くと結構味のある音出ますよ。
ほか、フィルターで丸めることで荒い初期デジタルっぽいSFパッドが作れるのもポイントですね(くだんの256倍音が、粗いWTシンセのエイリアスを誇張したみたいに聞こえる)。高機能なウェーブテーブルシンセがあれば代用できなくもないとは思いますが、変な変調を絡めたりして「現実の楽器らしくない音」が出せるのはHarsh Digital Noseの方なんじゃないかと。あと音が良い意味でチープ。もちろん悪い意味でもチープだけど。
4.使い勝手など
操作性はまあフリーソフト相応で、説明書きの欠如が気になるところです。あと全体的にUIが小さい。4Kディスプレイの人とか地獄ですよ地獄。また、地味にオシレーターのピッチつまみが曲者で、めちゃくちゃレンジの広いつまみ一つでピッチを調整する必要があります。Ctrl押しながらの微調整必須(これは逆に感度が鈍すぎる)。まあ、あまりハードに使うことを想定されていないUIと言い切ってしまってもいいんじゃないでしょうか……?
負荷は意外と軽いです。多分内部で一切オーバーサンプリングしてないせいでしょうが。あと不安定な挙動もあんまり見られません。
地味に描いた絵をpngで保存したり、pngをロードする機能も持っています。音作り中にうっかり名画を完成させてしまったときのみならず、単純にウェーブテーブルを保存するのにも役立ちます。DAW側でプリセットを保存しても、画像情報はちゃんと含まれているようなので安心(DAWによって異なる可能性はあります)。
5.わたしの評価
おすすめ度:★★★★★★★☆☆☆(6.9/10)
うー☆7とするにはアレすぎるけれど、でも個人的には高く評価したい……! ここまで何も考えずに出鱈目な音が出せるシンセって、フリーでは本当に貴重だと思うんですよ(小規模ベンダーが売ってる3000~5000円前後の変わり種シンセを買い漁れるほど財力はないので)。
モジュレーション周りの自由度がもう少し高かったら、そして自由に割り当てられるLFOが2個くらい付いていたら、本格的なサウンドデザイン要員に加われたかもしれないのですが……。
星の数ほどあるといわれるフリーシンセのうち、触ったことのあるものに長々と感想文を書いていきます。今回はその第五弾です。そろそろ辞め時がわからなくなってきましたが、きっと「辞め時」という言葉が私の脳内から消えた時が、本当にこのシリーズを辞めるときだと思います。
あんまりマイナーなプラグインばっか扱ってるとアクセス数が伸びないような気がしますが、生憎今回もニッチどころです。あんまり普通のプラグインだったら私が書く意味ないと思うんで仕方ないね。
VST2413(Keijiro Takahashi)
配布元:http://www.keijiro.tokyo/vst2413/

GUIはありません。画像はWaveformでGUIなしプラグインを開いた際の表示を適当に加工したもの。フォントがMSゴシックなのはわざとです。
VST2413に関してはフリーシンセにしては珍しく、(日本国内においては)プラグイン本体よりもその作者のほうが有名です。どうやら一線級のVJであり、Unity開発チームの一員でもあるらしいとのこと。
残念ながら(?)VST2413にUnityと関連する技術が使われているようにはまったく見えませんが、YM2413あるいはOPLLと呼ばれるような、往年のFM音源チップを再現するシンセサイザーです。往年のYAMAHAキーボードのサウンドも再現できるとか。
1.概略
・ある意味80年代90年代を代表するサウンドかも
・80'sのシンプルなFM(位相変調)音源を再現
・プレイヤー版・リズム音源版も同梱
・非ファミコンチップチューン音源として
2.できることとできないこと
元ネタとなったYM2413チップはOPLLと呼ばれ、OPL2というチップの廉価版にあたります。アーケードゲーム機や初期パソコンの拡張カードリッジに搭載されていたようですが、詳しくはググってください。2オペレーターのFM合成ができたり、リズムサウンドを鳴らしたりできるほか、いくつかのプリセットサウンドが搭載されてたりもします。ちなみに上位版であるOPL2の方にも、JuceOPLVSTiというフリーの再現プラグインが存在します。
実機OPLLの機能に関してはhttp://ngs.no.coocan.jp/doc/wiki.cgi/datapack?page=3%2E4+YM2413%28OPLL%29に明るいですが、どうやらこのVST2413ではキースケーラー機能が削られているようで? 一方で、ADSRの具体的な数値刻みとかは実機と同様とされているようですね。恐らく内部でビットレートを下げる処理も入っています。
ともかく、機能的にはDX7から2オペレーターだけ切り出したものに近いです。そしてVST2413には、モジュレータおよびキャリアの波形を上半分だけにする機能が付き、オンオフのみ切り替え可能なビブラートとトレモロが付き、より直感的なエンベロープが付きます。そんな感じ。
波形を上半分だけにするとなかなかエッジの効いた音が出てくれますが、強烈にDCオフセットが乗るので、普通にミックスする際には後段で除去しておくべきでしょう。実機でどういう処理をしているのかは知りません(そのままなんじゃないでしょうかね?)。
シンセとしてエディット可能なのはvst2413sというプラグインで、ほか内蔵プリセットを鳴らす用のvst2413p、リズムを鳴らす用のvst2413rがあります。話によればFMチップのリズム音は迫力に欠けるきらいがあるため、実際にはPSG音源(ファミコンから矩形波以外のパルス波を取っ払ったみたいな音源)と併用されることもあったとかなんとか……。
3.音
うーん正直、どの程度実機に近いかはよくわかりません。FM合成というのはシンプルなアルゴリズムなので、理論上はすべてのFM音源が同じ音を出すとは言われるんですが、やっぱりああいう実機のDACには独特のクセみたいなのがありそうな気がしますし……。多少ビットレートを下げる処理が入っているようではあるんですが、その処理が実機そのままかどうかはよくわかりません。わかりませんわかりませんわかりません! でも何も知らない人には区別できない程度に似ているとは思います。
なんとKVRのOne Synth Challengeのお題に選ばれたことがあります。応募作はさながらチップチューンの様相。しかし2オペレーターのFMシンセであっても本当に多彩な音が出るものですね。実機は仕様の制約上プリセット音色が多用されていたようですが……。
当然のことながら、今となっては非常にジャンル・用途を選ぶ出音です。ファミコンの音とかはポップスでも飛び道具的に入れられるんでしょうが、同じポジションに初期FM音源の音を入れたところでキャラクターが立たないというか……。逆に脇役として曲にうまくハメられたら気持ちよさそうではあります。
4.使い勝手など
GUIが存在しないため、操作性などはDAW側の機能に準じます。DAW上では原則、オンオフのみのスイッチ類も摘みとして表示されるのでわかりにくく感じるかも。
負荷は比較的小さく、Synth1の倍程度です(目測値)。比較的軽いですが、類似プラグインであるJuceOPLVSTiほど軽くはありません(ただしJuceOPLVSTiは若干バグが多いようではあります)。
私の環境では確か2413rに非対応のMIDI CCを投げるとクラッシュしたような記憶がありますが、それ以外はそこそこ安定している部類ではないでしょうか。全幅の信頼を置けるほどではないです。
5.わたしの評価
おすすめ度:★★★★★★☆☆☆☆(6/10)
まあ誰にでも推奨する類のプラグインではないです。完全にチップチューン要員なので。シンセだと思ったときの機能は大したことありません。でも欲しい人は間違いなく欲しいでしょう。もっと欲しい人はPlogueのPortaFMを買うでしょうが。
前述のように、関係ない文脈でサラッと登場されられれば面白いんでしょうが、ちょっと自分の技量では難しいかもしれません。実際色々な楽器の混ざったチップチューンってよくわからないですね。
Harsh Digital Nose(Insert Piz Here)
配布元:http://www.vst4free.com/free_vst.php?plugin=Harsh_Digital_Nose&id=703

本企画最大のキワモノ枠がやってまいりました。おおよそ楽器のそれとは思えないGUIが特徴です。地球上には「音のPhotoshop」と形容されるプラグインもあるようですが、こちらはむしろ「Photoshopの音」です。絵を描いたり、ぼかしや複製を掛けたりはできますが、生憎範囲選択はできません。
奇妙さという点で、64bit対応のプラグインシンセサイザーでこれを超えるものを私は知りません。あったら教えてください。
1.概略
・Photoshopの音
・画像をオシレーター波形に変換するらしい
・その正体は手書きウェーブテーブル?
・セレンディピティ的なアプローチで音作りができる
・その名の通り、耳障りでデジタル感のあるノイズ……いや、鼻を得意とする。鼻ってなんだ
・フィルターで丸めると意外とまともな音が出る
2.できることとできないこと
Harsh Digital Noseは相互変調可能な2オシレーター+サブオシレーターに、エンベロープの無いフィルターが付く構成です。フィルターエンベロープを付けなかったのは本当に英断だと思うんですが、シリアスな用途を想定するとやっぱり欲しさが否めません。
さて、このシンセのオシレーターは、ラスター画像をウェーブテーブルに無理やり変換するという仕組みで音を鳴らしています。デフォルトでは画像は座標(0, 0), (1, 0)...(255, 0), (0, 1), (1, 1)...(255, 1)のようにスキャンされてゆき、最後に(255, 255)と(0, 0)をつないで一次元のオシレーター波形とします。また、画像上にShift+左/右クリックで、ウェーブテーブルの始点・終点を指定できます(オートメーション可能なように見えますが、実際にはオートメーションできません)。しかしウェーブテーブルの長さを縮めるとその分だけ音のピッチが上がります。どうすりゃいいんだ。原則、輝度はそのまま波形の高さに変換され、色相と彩度は後段のモジュレーションに影響するようです。(このままだと65536サンプルにも上る長大なウェーブテーブルが生成されることになるのですが、それをどのように再生しているのかは謎です)
具体例を挙げますと、例えば上半分が黒、下半分が白の画像は矩形波として解釈されます。そして、上が黒、下が白のグラデーションはノコギリ波として解釈されます。右半分が黒、左半分が白の画像の場合は、元の波形の256倍音として解釈されることになりますので、8オクターブ上の音が鳴ります。なんだそれ。
オシレーター画像の右にある「F」「P」「A」「&」などの小さな摘みでは、周波数変調、位相変調、振幅変調などを行います。どうやら色相・彩度はここに関わっているらしいんですが、具体的にどう関わるかは明らかではありません。まあこれは何も考えずに触るのが正解なんじゃないでしょうか。おそらく、オシレーター1の右にある摘みはオシレーター1と2の間で、2の右にある摘みはオシレーター2と3(サブオシレーター)で変調が行われるんだと思います。オシレーター3に変調させるためにはもう一つ「D」の摘みを回す必要があります。
エンベロープは各オシレーターの音量宛のが一基ずつあり、これを使ってレイヤー風サウンドを作ることができます。機能的には大したことないんですが、工夫次第で様々な表現ができると思います。とはいえ折角多彩な変調オプションがある以上、それらにエンベロープが割り当てられればもっと面白くなりそうな気もしますが……。
3.音
逆にまともな音が出ると思いましたか? しかしほかのマトモなシンセサイザーで作ろうとすると地味に面倒なグリッチサウンドがお絵かき感覚で作れます。これ重要。マーク・ロスコの絵画みたいなのを描くと結構味のある音出ますよ。
ほか、フィルターで丸めることで荒い初期デジタルっぽいSFパッドが作れるのもポイントですね(くだんの256倍音が、粗いWTシンセのエイリアスを誇張したみたいに聞こえる)。高機能なウェーブテーブルシンセがあれば代用できなくもないとは思いますが、変な変調を絡めたりして「現実の楽器らしくない音」が出せるのはHarsh Digital Noseの方なんじゃないかと。あと音が良い意味でチープ。もちろん悪い意味でもチープだけど。
4.使い勝手など
操作性はまあフリーソフト相応で、説明書きの欠如が気になるところです。あと全体的にUIが小さい。4Kディスプレイの人とか地獄ですよ地獄。また、地味にオシレーターのピッチつまみが曲者で、めちゃくちゃレンジの広いつまみ一つでピッチを調整する必要があります。Ctrl押しながらの微調整必須(これは逆に感度が鈍すぎる)。まあ、あまりハードに使うことを想定されていないUIと言い切ってしまってもいいんじゃないでしょうか……?
負荷は意外と軽いです。多分内部で一切オーバーサンプリングしてないせいでしょうが。あと不安定な挙動もあんまり見られません。
地味に描いた絵をpngで保存したり、pngをロードする機能も持っています。音作り中にうっかり名画を完成させてしまったときのみならず、単純にウェーブテーブルを保存するのにも役立ちます。DAW側でプリセットを保存しても、画像情報はちゃんと含まれているようなので安心(DAWによって異なる可能性はあります)。
5.わたしの評価
おすすめ度:★★★★★★★☆☆☆(6.9/10)
うー☆7とするにはアレすぎるけれど、でも個人的には高く評価したい……! ここまで何も考えずに出鱈目な音が出せるシンセって、フリーでは本当に貴重だと思うんですよ(小規模ベンダーが売ってる3000~5000円前後の変わり種シンセを買い漁れるほど財力はないので)。
モジュレーション周りの自由度がもう少し高かったら、そして自由に割り当てられるLFOが2個くらい付いていたら、本格的なサウンドデザイン要員に加われたかもしれないのですが……。
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RykSeb(硫化西部)
が
しました