2020-11-30 追記: 久々のアップデートが来ました、というかこれから来る予定だそうです。主にGUI周りに多くの改善がなされているようですので、GUIを理由に購入をしり込みしていた方は一度確認してみるといいと思います。
うわ~今日もSynthMasterちゃんが可愛いよぉ~~~(限界)
ということでタイトルの通り、トルコを代表する(個人の意見です)ソフトウェアシンセサイザーSynthMaster(無印)を去年のブラックフライデーで買っておおよそ一年が経ちました。その間に大した曲が完成したわけではありませんが、その無愛想なUIに込められた一片の優しさが、辛く哀しい曲作りの心の支えになったことは間違いありません。
冗談はともかく、いくつかの弱点を除けば大変良いシンセだとは思いますが、ネット上にべた褒めレビューが転がってる中また別の見地を提供したいという点とか、SynthMasterでほぼなんでもやってしまう私とそれ以外のDTM者とのシンセ使いの違いを提供したいという点とかがありまして、改めてレビュー記事をここに記そうと思った次第です。
目次
1.SynthMasterのすごいところ
2.SynthMasterの微妙なところ
3.総評
これリンクにする必要なかったな
1.SynthMasterのすごいところ
・マイクロチューニングができる
いや最初にそれかい! アハハここ笑うとこですよ
でもこれは大きいです。これが出来ない楽器は、微分音使った音楽に指一本触れることができないからです。これは先日つくった七平均律で書かれた曲なのですが、これはSynthMasterナシではほぼ間違いなく完成させることができなかったでしょう。ちなみにフリープラグイン界隈ではSforzandoやSurgeがマイクロチューニング対応です。
私は商業音楽アンチなので十二平均律みたいな金に染まった音律は使いたかないのです。これは誇張ですが。
・豊富なモジュレーション
あらゆるソースからあらゆるターゲットを変調できます。ある程度高額なシンセだと当たり前のように出来ることですが。
モジュレーション周りの分かりやすさに関しては難しいところで、慣れに依存する部分も大きいと思うのですが、SynthMasterのそれはソフトシンセ全体で見れば『中の上』くらいかなあと。モジュレーションターゲットのつまみの色が変わり、モジュレーションによる変調幅がリングで示されるギミック、ソース・ターゲット別にソート可能で常に一番求めているモジュレーションを表示してくれる賢いマトリックス。もっと直感的なシンセはたくさんありますが、これだけ整備してあれば困ることも少ないでしょう。Easyノブの出力がBipolarであることを知らないとちょっと戸惑いますが。
モジュレーションの設定に関しては、マトリックスから直接編集するのは大変なのでドラッグ&ドロップまたはターゲットにしたいつまみを右クリックが早いです。
・できないことがない
なんかいきなり書く気が無くなりました。でもこれ重要なことだと思います。なんでも任せられるというのは。
付属品のヴィンテージ・アナログ・シンセサイザー波形を取り込み、オシレーターのピッチを揺らし、アナログモデリングフィルターで成型すれば(遠目で見れば)結構アナログシンセに似せられます。でもオシレーターはウェーブシェーピング可能で、ただのノコギリ波をガンガン加工していくこともできるし、普通にデジタル系ウェーブテーブルシンセとしても使える。ウェーブテーブルも補完の効かない簡易的な奴ではなく、自動でなめらかに補完してノイズもほとんど出しません。普段は多層メニューの裏でひっそり息をひそめていますが凄いやつです。ただし低音域には弱い。
オシレーター自体も、加算合成タイプのやつはエレピのようなアタックを作るのに使えますし、ベクタータイプのはよくわからんけどマウスでぐりぐりやると楽しいです。無駄に多い収録波形も慣れれば(どこに何があるか分かれば)とっかえひっかえして楽しめます。
あとフィルターにこっそりCombタイプのフィルターが紛れ込んでますが、これも楽しい。単にエフェクトとして使うだけでなく、撥弦楽器風の音源ソースにも出来ます。うん、出来なくはない。
とにかく大技小技が多いシンセで、長時間触っていても飽きません。音の出るおもちゃとしても、ガチの制作ツールとしても輝きます。
2.SynthMasterの微妙なところ
・微妙に不親切なUI
媚びない見た目は好きです。媚びない見た目は好きなんですが、操作性は媚びてほしかった。主にモジュレーション周りの操作がやや煩雑です。
まず、エンベロープとLFOなどのモジュレーションソースの内容を見れるのは原則一度に一つのみです。音量エンベロープとフィルターエンベロープを交互に調整したいことってあると思うのですが、両者間の行き来にはプルダウンメニューを経由し二回クリックする必要があります。せめてワンクリックにしてくれよ。頼むよ。そのせいで私が組んだSynthMasterのパッチはエンベロープが適当なんだよ。

あとなんかステップLFOみたいなのが用意されてますが、あの操作性で凝ったシーケンスを打ち込むのはちょっとやりたくないです。
(2020/07/20追記:この辺の操作性はスキン改造で緩和されることがあります → http://ry.ldblog.jp/archives/6587018.html ←)
(2020/11/30追記:2.9.9Betaではスキンの仕様が変わり、ここで改造したスキンは使用できなくなっている模様。今の今から実行するのは推奨しません)
・出音は好みが分かれる……かも
音が悪いとか言うつもりはないです。激しいウェーブシェイピングでも破綻せず、オシレーターシンクの音は非常に説得力があります。自分はサウンドデザインに明るくはありませんが、万能シンセということもあり、どの場面でも使える出音だと思います。
逆に言えば、その音は典型的なEDMサウンドとも、深みのあるアナログサウンドともまったく別物です。SynthMasterの味はあくまでソリッドで独特の弾力を持つデジタル系サウンドで、広がっていったり包み込んだりする感じはありません。確かにフィルターにはアナログモデリングのものも複数用意されていますが、パラメータによってはチープな質感になることが往々にしてあります。特にLadderタイプは元ネタとまるで別物で、"あの"サウンドを期待するとずっこけます。
オシレーターに関しては品質設定を上げれば大分きれいな音が出ますが、それでもノイズが無いとは言い切れません(スペアナで見ればわかります)。また、内蔵のディストーションはエイリアシングノイズが出るタイプなので高音域に掛ける際は注意が必要です。フリーウェアのSurgeのディストーションでさえエイリアシングノイズ出さないのに(音が良いかどうかは別問題)。
但し注意すべきなのは、「○○サウンドに似ていない」や、「単にノイズが多い」というだけで楽器の音の良しあしを決めるのはあまりに拙速だろうということです。単に価格対機能に優れているだけでは、SynthMasterは今ほどの名声を獲得していなかったでしょう。人々を引き付ける何かがあるんです。たぶん。
3.総評
いや 違うんだよな 別にSynthMasterのネガキャンをするつもりはなかった。現にこんな文句言いながらでもガンガン使ってますし、その音作りの過程は一度捕まったらなかなか離してくれないほどの魅力があります。単に作業効率が悪いから長時間没頭せざるを得ないとかではない……はずです。
SynthMasterの凄いところの一つに、その弱点を有り余る多機能さで補える点があるかと思います。世の中には沢山のシンセサイザーがあって、2OSCのヴァーチャルアナログもあれば、ダークサイドを解き放つ未来からやってきたシンセサイザーもあります。でもこいつが使いこなせるようになっていれば、たぶんどのシンセを前にしても正面からオペレーションに向かっていけるようになるんじゃないかなと感じます。
ほとんど一人で開発しているプラグインでもありますし、細かいところを妥協することさえできればベストチョイスの一つになるのではないかなと。品質のわりにかなり安いし。
4.おまけ:SynthMasterの買い方
公式サイトまたはSonicwire、およびPlugin Boutiqueとかで取り扱っています。公式サイトだと学割(4割引)が受けられ、Sonicwireだと日本語マニュアルが付属し、Plugin Boutiqueだとポイントが貯まったりGiveawayでプラグインがもらえたりします。どれも魅力的ですね。公式サイトではメールマガジン登録でクーポンがもらえたはず。
Everything Bundleに付属するSynthMaster3.0アップグレード権ですが、肝心の3.0のリリースが1年半にわたって延期を繰り返しているのでうーん。その前に行われるはずの2.9.9へのマイナーアップデートも今だ音沙汰がないので何とも言えません。開発者が一人なのでこの辺不安定ですね。
環境依存の中規模(致命的ではないが気にならないわけではない)なバグが多いのでデモは入念にチェックした方が良いかと思われます。バグ無しシンセを望むなら大手の製品のほうが無難かも。
追伸:ある程度のテンプレート・プリセットを作っておくと便利です。自分はOSC1にアナログ系ノコギリ波、OSC2にはWavetableモードでアナログシンセのPWMを入れ、"Bite" フィルター(MS-20の模倣らしいがまったくそうは聞こえない)のカットオフにADSR2をアサインしています。
うわ~今日もSynthMasterちゃんが可愛いよぉ~~~(限界)
ということでタイトルの通り、トルコを代表する(個人の意見です)ソフトウェアシンセサイザーSynthMaster(無印)を去年のブラックフライデーで買っておおよそ一年が経ちました。その間に大した曲が完成したわけではありませんが、その無愛想なUIに込められた一片の優しさが、辛く哀しい曲作りの心の支えになったことは間違いありません。
冗談はともかく、いくつかの弱点を除けば大変良いシンセだとは思いますが、ネット上にべた褒めレビューが転がってる中また別の見地を提供したいという点とか、SynthMasterでほぼなんでもやってしまう私とそれ以外のDTM者とのシンセ使いの違いを提供したいという点とかがありまして、改めてレビュー記事をここに記そうと思った次第です。
目次
1.SynthMasterのすごいところ
2.SynthMasterの微妙なところ
3.総評
これリンクにする必要なかったな
1.SynthMasterのすごいところ
・マイクロチューニングができる
いや最初にそれかい! アハハここ笑うとこですよ
でもこれは大きいです。これが出来ない楽器は、微分音使った音楽に指一本触れることができないからです。これは先日つくった七平均律で書かれた曲なのですが、これはSynthMasterナシではほぼ間違いなく完成させることができなかったでしょう。ちなみにフリープラグイン界隈ではSforzandoやSurgeがマイクロチューニング対応です。
私は商業音楽アンチなので十二平均律みたいな金に染まった音律は使いたかないのです。これは誇張ですが。
・豊富なモジュレーション
あらゆるソースからあらゆるターゲットを変調できます。ある程度高額なシンセだと当たり前のように出来ることですが。
モジュレーション周りの分かりやすさに関しては難しいところで、慣れに依存する部分も大きいと思うのですが、SynthMasterのそれはソフトシンセ全体で見れば『中の上』くらいかなあと。モジュレーションターゲットのつまみの色が変わり、モジュレーションによる変調幅がリングで示されるギミック、ソース・ターゲット別にソート可能で常に一番求めているモジュレーションを表示してくれる賢いマトリックス。もっと直感的なシンセはたくさんありますが、これだけ整備してあれば困ることも少ないでしょう。Easyノブの出力がBipolarであることを知らないとちょっと戸惑いますが。
モジュレーションの設定に関しては、マトリックスから直接編集するのは大変なのでドラッグ&ドロップまたはターゲットにしたいつまみを右クリックが早いです。
・できないことがない
なんかいきなり書く気が無くなりました。でもこれ重要なことだと思います。なんでも任せられるというのは。
付属品のヴィンテージ・アナログ・シンセサイザー波形を取り込み、オシレーターのピッチを揺らし、アナログモデリングフィルターで成型すれば(遠目で見れば)結構アナログシンセに似せられます。でもオシレーターはウェーブシェーピング可能で、ただのノコギリ波をガンガン加工していくこともできるし、普通にデジタル系ウェーブテーブルシンセとしても使える。ウェーブテーブルも補完の効かない簡易的な奴ではなく、自動でなめらかに補完してノイズもほとんど出しません。普段は多層メニューの裏でひっそり息をひそめていますが凄いやつです。ただし低音域には弱い。
オシレーター自体も、加算合成タイプのやつはエレピのようなアタックを作るのに使えますし、ベクタータイプのはよくわからんけどマウスでぐりぐりやると楽しいです。無駄に多い収録波形も慣れれば(どこに何があるか分かれば)とっかえひっかえして楽しめます。
あとフィルターにこっそりCombタイプのフィルターが紛れ込んでますが、これも楽しい。単にエフェクトとして使うだけでなく、撥弦楽器風の音源ソースにも出来ます。うん、出来なくはない。
とにかく大技小技が多いシンセで、長時間触っていても飽きません。音の出るおもちゃとしても、ガチの制作ツールとしても輝きます。
2.SynthMasterの微妙なところ
・微妙に不親切なUI
媚びない見た目は好きです。媚びない見た目は好きなんですが、操作性は媚びてほしかった。主にモジュレーション周りの操作がやや煩雑です。
まず、エンベロープとLFOなどのモジュレーションソースの内容を見れるのは原則一度に一つのみです。音量エンベロープとフィルターエンベロープを交互に調整したいことってあると思うのですが、両者間の行き来にはプルダウンメニューを経由し二回クリックする必要があります。せめてワンクリックにしてくれよ。頼むよ。そのせいで私が組んだSynthMasterのパッチはエンベロープが適当なんだよ。

あとなんかステップLFOみたいなのが用意されてますが、あの操作性で凝ったシーケンスを打ち込むのはちょっとやりたくないです。
(2020/07/20追記:この辺の操作性はスキン改造で緩和されることがあります → http://ry.ldblog.jp/archives/6587018.html ←)
(2020/11/30追記:2.9.9Betaではスキンの仕様が変わり、ここで改造したスキンは使用できなくなっている模様。今の今から実行するのは推奨しません)
・出音は好みが分かれる……かも
音が悪いとか言うつもりはないです。激しいウェーブシェイピングでも破綻せず、オシレーターシンクの音は非常に説得力があります。自分はサウンドデザインに明るくはありませんが、万能シンセということもあり、どの場面でも使える出音だと思います。
逆に言えば、その音は典型的なEDMサウンドとも、深みのあるアナログサウンドともまったく別物です。SynthMasterの味はあくまでソリッドで独特の弾力を持つデジタル系サウンドで、広がっていったり包み込んだりする感じはありません。確かにフィルターにはアナログモデリングのものも複数用意されていますが、パラメータによってはチープな質感になることが往々にしてあります。特にLadderタイプは元ネタとまるで別物で、"あの"サウンドを期待するとずっこけます。
オシレーターに関しては品質設定を上げれば大分きれいな音が出ますが、それでもノイズが無いとは言い切れません(スペアナで見ればわかります)。また、内蔵のディストーションはエイリアシングノイズが出るタイプなので高音域に掛ける際は注意が必要です。フリーウェアのSurgeのディストーションでさえエイリアシングノイズ出さないのに(音が良いかどうかは別問題)。
但し注意すべきなのは、「○○サウンドに似ていない」や、「単にノイズが多い」というだけで楽器の音の良しあしを決めるのはあまりに拙速だろうということです。単に価格対機能に優れているだけでは、SynthMasterは今ほどの名声を獲得していなかったでしょう。人々を引き付ける何かがあるんです。たぶん。
3.総評
いや 違うんだよな 別にSynthMasterのネガキャンをするつもりはなかった。現にこんな文句言いながらでもガンガン使ってますし、その音作りの過程は一度捕まったらなかなか離してくれないほどの魅力があります。単に作業効率が悪いから長時間没頭せざるを得ないとかではない……はずです。
SynthMasterの凄いところの一つに、その弱点を有り余る多機能さで補える点があるかと思います。世の中には沢山のシンセサイザーがあって、2OSCのヴァーチャルアナログもあれば、ダークサイドを解き放つ未来からやってきたシンセサイザーもあります。でもこいつが使いこなせるようになっていれば、たぶんどのシンセを前にしても正面からオペレーションに向かっていけるようになるんじゃないかなと感じます。
ほとんど一人で開発しているプラグインでもありますし、細かいところを妥協することさえできればベストチョイスの一つになるのではないかなと。品質のわりにかなり安いし。
4.おまけ:SynthMasterの買い方
公式サイトまたはSonicwire、およびPlugin Boutiqueとかで取り扱っています。公式サイトだと学割(4割引)が受けられ、Sonicwireだと日本語マニュアルが付属し、Plugin Boutiqueだとポイントが貯まったりGiveawayでプラグインがもらえたりします。どれも魅力的ですね。公式サイトではメールマガジン登録でクーポンがもらえたはず。
Everything Bundleに付属するSynthMaster3.0アップグレード権ですが、肝心の3.0のリリースが1年半にわたって延期を繰り返しているのでうーん。その前に行われるはずの2.9.9へのマイナーアップデートも今だ音沙汰がないので何とも言えません。開発者が一人なのでこの辺不安定ですね。
環境依存の中規模(致命的ではないが気にならないわけではない)なバグが多いのでデモは入念にチェックした方が良いかと思われます。バグ無しシンセを望むなら大手の製品のほうが無難かも。
追伸:ある程度のテンプレート・プリセットを作っておくと便利です。自分はOSC1にアナログ系ノコギリ波、OSC2にはWavetableモードでアナログシンセのPWMを入れ、"Bite" フィルター(MS-20の模倣らしいがまったくそうは聞こえない)のカットオフにADSR2をアサインしています。
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