箱はかなりチャチなので、箱をコレクションしたい方にはお勧めしません。

購入の経緯
普段はヘッドホン(ATH-SX1a)をつけているのですが、長時間の装着により耳介の皮膚が荒れてしまいました。自宅でスピーカーを使える環境ではないため、抜本的に耳荒れを解決するために、楽曲制作にも使えるクオリティのイヤホンを入手することにしました。

購入にあたっては、店舗で何機種か試聴したうえで、価格の割に音が良いと感じられた本機種を選びました。私は耳も悪く、オーディオ機材に関しては全くの無知ですが、9年のDTM経験(笑)を活かして試聴用音源を自作して試聴に臨みましたので、客観的な判断をしたつもりです。

気に入ったところ
低音のロールオフが自然(ATH-SX1a比)
ATH-SX1aは、低音の量は多いのですが、40Hz未満の音が極端に出にくいです。おそらく放送現場用モニターヘッドホンという特性上、あえてそう設計したと思うのですが、電子音楽を作るうえではハンデになります。

かたや、TAE7009は、低音はロールオフする一方で、30Hz程度の超低域もなんとか出力してくれます。店頭試聴した感じ、1万円前後のモニター系イヤホンでも、30Hz周辺をここまで忠実に出せるイヤホンは珍しい印象でした。過信は禁物ですが、ダンスミュージックの音楽制作や、フィールドレコーディングの確認などにも多少使えると思います。

なお、イヤーピース次第ですが、TAE7009の低音は非常にタイトかつコンパクトで、量も控えめです。モニターイヤホンとしては美点ですが、TAE7009でちょうど良く聴こえる低音でも、ほかの環境では膨らんで聞こえることもありそうなので、その辺は意識が必要でしょう。


アンダー一万円イヤホンで貴重なフラット特性
同価格帯のリスニング用のイヤホン(有名メーカー製)もいくつか聴きましたが、その中では一番、どの音源を聞いても素直な周波数特性で応答してくれる気がします(主観です)。全体的には高音寄りのカマボコ特性に感じます。カマボコといっても、低音や高音に落ち込みもなく、かなり原音を聴きやすい音質でした。

本格的なモニター系イヤホンはもっと超高域が強いことが多いですが、超高域の強い音質は好みではない私にとっては、この程度の「なんちゃってフラット」で十分かなと。


音の情報量が多い
各方面から高評価を受けている有名なモニターイヤホンに、SennheiserのIE100PROという機種があります。このIE100PROは12000円くらいですが、店頭で聞き比べた限り、TAE7009は、同格とはいかなくても、IE100PRO比で9割程度の情報量を持っているのではないかと感じました。方やTAE7009は実売7000円台ですので、非常に健闘している印象です。

近い価格帯で、TAE7009と同等かそれ以上に情報量の多いイヤホンもありましたが、周波数バランスの素直さや、情報量の多さと両立できている機種は見つかりませんでした。


気になったところ
音質面の限界
さすがに、ATH-SX1a(実売16000円台のモニターヘッドホン)と比べてしまうと、描写の詳細度が二段くらい劣ります。あるいはATH-SX1a以外の、本格的なモニターヘッドホン(CD900STやM50x、7506など)と比べると、精密なニュアンスの聞き分けは難しいといえます。

率直に言えば、ATH-SX1aの面目が保たれて一安心といったところ。ただ、作曲・ミキシングを趣味程度でやる方が、モニターヘッドホン代わりに使う分には十分だとも思います。


空間の狭さ
カナル型イヤホンの構造上仕方ないことですが、空間が狭く、アコースティック感が少ないので、「リスニングで楽しい音」とは感じられませんでした。モニターする上では、余計な味付けがなく優秀とも言えます。

どちらかといえば、カナル型イヤホンに慣れたリスナーを対象にした音作りだとは感じました。

ケーブルの長さ
TAE7009のケーブルは、イヤホンとしては一般的な長さです。一般的な長さに文句を言うのもアレではありますが、オーディオインターフェースや楽器に繋げる用途も考慮すると、もっと長いほうが取り回しやすかったなあと思います。

デザイン
ケーブルは各部が金銀で加飾されています。しかしあまり質感の良さを感じられないので、むしろデザインをそぎ落としたほうが、私の好みに近づきます。まあ、ゴテゴテ感は控えめなので、かっこ悪くはないです。

本体のデザインはシンプルで好みです。


現時点での総評
TAE7009は尖った強みの無い機種ですが、単純にコスパが良い印象です。空間の狭さだけはどうしようもないですが、狭い中にも立体感があるので、欠点とまでは感じません。安価・高性能・没個性なTAE7009は、「道具」としては理想的ではないでしょうか。

一つ言えるとしたら、カナル型イヤホンであることが最大の弱点かもしれません。本機種はイヤホンの中では装着性が良いと感じましたが、それでも装着方法によって音質がシビアに変わるなど、難しさは感じました。