先日は買い物をした。先日というのは3月2日のことだ。
憧れの?ハードシンセ。KORGのMonologue。公式サイト曰く『♰美しさと狂気を秘めた♰モノフォニック・シンセサイザー』(♰は筆者による追記)。3万円しなかったので、ソフトシンセと大差ないと思って買ってしまった。
このMonologue、制御系はデジタルだが音声パスは本物のアナログ回路である。モノフォニックアナログシンセサイザー。すごいね。やっぱりソフトシンセとは違う音がするね。それともDivaとかReproとかはそのまんまこういう音なのだろうか。とにかく複雑な揺らぎのある音だ。
シンセとしての方向性としては、主にベース・リード用途を想定したものだろう。モノフォニックであるからパッドとしては使えない。
出音にはあまり詳しくないが、フィルター周りは結構アグレッシブなサウンドだ。フィルターが遠慮なく自己発振するあたりはIKのUNO Synthとは対照的といえる。オーバードライブはキンキンするものではなくボワボワするもので、これは中低音とよく合う。刺さるような歪み系リードを作るのには向かない。
ちょっと面白いのがLFO。周波数は最高2800Hzまで上がる。PitchにかければFMサウンドが得られ、FilterにかければFilter FMといったところだろうか。レゾナンスを上げれば面白い。LFOはShapeにかけることができ、高周波でかけるとなかなか珍しい音になる。どちらにせよ非整数倍音が発生するのでサウンドはノイズ寄りになる。ロマン要素かもしれない。
また、LFOにある1-ShotモードはLFO発振がノート音直後の1サイクルで止まる。これにはMonologueの貧弱なエンベロープ周りを補うポテンシャルがある。その辺の調整はすごい。
ステップシーケンサーは16段まで自由な段数を設定できる。7ステップとかでもいい。TB-303を模倣したかのようなスライド機能があり、アシッドベースの仲間みたいなシーケンスが刻める。オーバードライブを掛けるとpost-303だ。いやそこまで大仰なものでもないかもしれないが。
しかも、ステップシーケンサーには任意のパラメーター4つまでを記録する機能まで付いている。うまく使えばキックとベースを両方鳴らせたりするかもしれないが…………制作で使えるかどうかは微妙だ。暇つぶしにこねくり回す分には楽しいので良い。
そして最後に紹介したいのが最高のロマン要素。マイクロチューニング。公式の紹介動画では尺の3割くらいを割いていた気がする。使わない。
でもSynthMasterとかもマイクロチューニング対応だからセッションできる。長い人生、一度くらいは十二平均律から外れてみても良いかもしれないし。
さて、昔から大きな買い物でも小さな買い物でもさんざん検討する癖のある私は、相変わらずさんざん検討してMonologueを買ったわけで、対抗馬としてはMinilogue、Minilogue xd、UNO Synth、MicroBrute、Bass Station 2が挙げられる。敢えてMonologueにした理由を列挙すると、
① 電池でも動く
② デジタル制御
③ 音作りの幅の的確さ
④ 適度な価格
とまあまあ多い。
①について、ガシェット(楽器というより)を選ぶ際、モビリティは想像以上に重要だったりする。ハイスペックなサイクロン式掃除機よりも紙パック式コードレス掃除機の方が、私の眼には魅力的だ。我が家にはエレクトーンなんてアナクロなものがあり、本格的な演奏はそちらで間に合う。気軽に持ち出せ、それこそ屋外で触れるのも素敵だ。実際にやるかどうかはともかく。
②について、これはDTMに活用したい目論見ゆえほとんど必須だった。音色保存が可能、本体メモリが足りなくなったらPCに移せる、しかもMIDI対応などDTMにはありがたいこと尽くめだ。デジタル最高!アナログ回路はクソ!
③について、ADSRすら付いていないMonologueに何をという話であるが、それよりもDrive回路とかLFOの柔軟性とかを重視した結果のことだ。Monologueの設計の巧妙なところは、ADSRを省いてまでシーケンサーや波形変形機能やマイクロチューニングを入れたことだろう。モノシンセの用途の範囲内であれば、意外と簡易的なエンベロープで事足りる。ポリフォニックであればこうはいかなかっただろう。
④について、これは③とも関連するが、削っていい部分を容赦なく削ることで他社のライバル機より安い価格を実現している。UNO Synthよりは高いけど、鍵盤代だと思えば気にならない。私はMIDIキーボードを持っていないので。
とまあ。書けるだけ書いた。
でも、なんだかんだ言ってDTM音源としてしか使わないんだったらソフトシンセの方がいいです。録音は面倒だし、ソフトシンセの方がよほど多機能です。
結局のところ私がハードシンセを買った最後の決め手は、シンセサイザーに画面から出てきてほしかったから。マウス越しではなく、直接触りたかった。シンセは嫁とかと違って画面から出てくる。不規則に揺らぐアナログサウンドは、なかなか操り甲斐があるものだ。