2018年のブラクフッライーデではSynthMaster2というシンセを買った。これは自分初のお金を出して買ったソフトシンセである。ハードシンセとしては以前から学研の大人の科学の奴が埃をかぶっている。お金を出さないで入手したシンセはAirのHybrid 3とVacuum Proで、これはドイツの雑誌Beatのキャンペーンで配られていた奴だ。
 初めての商用ソフトシンセであるから後悔の無いように1週間近くも熟考し、結論としてSynthMasterにした。私の場合、買う前に熟考すればするほど愛着が湧く。だから今でも、私は心の中でSynthMasterをちゃん付けで呼んでいる。

 そんなのはどうでもいい。
 とにかくこの記事ではSynthMasterちゃんを推しに推したいのだ。というか一線級のシンセが手元にあるもんだから自慢したくて仕方ないのだ。GUIかわいいし。だからみんなファーストシンセはSynthMasterだ。サブ機として持っていてもいい。
 ということで以下はすべてレビューという名の自慢だ。だからこの記事は長い。

SynthMasterのここがいい①
 GUIがかわいい
 SynthMasterはまずその見た目で惹かれる。かわいい。
 見にくいだとか安っぽいだとかと酷評する人も多いが、まあ実際その通りだと思う。でも真の問題はかわいいかどうかだ。
 世の中には色々と凝ったGUIを持つプラグインがあるが、画面上の存在に小洒落たアニメーションとかリッチな質感とかを求めるのはお門違いではなかろうか。所詮画像だよ? 彼らの本業は『音』なはずであるし、それなら『音』に特化していそうな見た目であってもいいはずだ。
 ちょっと検索するなり何なりしてSynthMasterのビジュアルを見てほしい。ダークグレーの背景になんか藻みたいな色のが沢山光っているやつだ。
 確かに地味だ。でも根暗DTMerのファッションって大体こんな感じではなかろうか。あと根暗DTMerの自室もこんな感じにゴチャゴチャしてサイバーではなかろうか。すなわち、SynthMasterは実質根暗DTM少女だ。ほらかわいい。また、最近追加されたWhiteというスキンは明るくフラットな印象で、頑張っておめかししているみたいでこれまたかわいい。
 ……などと必死に擁護してみたが、アニメーションが皆無なのはエンベロープやLFOの様子を把握するうえで若干不便なのでどうにかしてほしい。この節は以上だ。

SynthMasterのここがいい②
 なんか機能がたくさんある
 詳しいことはよくわからないが、このシンセには機能がたくさんある。これは購入を決める上で非常に重視した。というかこの多機能さがSynthMaster最大の売りだろう。
 詳しくは他のサイトに譲るが、SynthMasterには主に以下のような機能がある。

 1. オシレーターが2基ある
 2. それに加えて変調用のサブオシレーターが4基ある
 3. オシレーター・サブオシレーターは任意の波形を取り込める
 4. オシレーター用の波形も多数付属
 5. オシレーターは16台ユニゾンできる(Supersawなどが作れる)
 6. ユニゾンしたオシレーターのSpreadさせるパラメータが4種類ある
 7. オシレーターは加算合成もできる
 8. オシレーターは最近流行りのウェーブテーブルなんとかもできる
 9. オーディオ入力をオシレーター代わりに使うこともできる
 10. つまりMIDI入力で動くステップゲートとしても使える
 11. オシレータにはサブオシレーターによるRing変調とFM変調を掛けられる(同時も可)
 12. 実はFM変調には位相変調(DX7方式)と周波数変調(狭義のFM変調)の2種類あるが、SynthMasterは両方対応している
 13. サブオシレーターにFM変調を掛けることも可能なので、割とFMシンセの役割も担える
 14. オシレーター・サブオシレーターにはウェーブシェーピング機能が付いている
 15. その処理方法は17種類から選べる
 16. 例えばFM変調を掛ける前に波形の倍音を削っておくこともできる
 17. オシレーター・サブオシレーターはピッチを揺らがせることができる(地味に便利)
 18. フィルターは6種類用意されている。Moog風とかTB-303風とか。
 19. フィルタードライブも掛けられる。太いサウンド作りに有効。
 20. そんなフィルターが2基も搭載されている。
 21. ADSRエンベロープ4つとなんかフリーダムなエンベロープ2つが使用可能
 22. LFOはボイス単位で掛かるもの2つと全体に掛かるもの4つが使用可能
 23. なぜかキースケーラーが4つ使用可能 そんなに使わない
 24. AirのLoomにもあるような2Dエンベロープもある
 25. 上記のモジュレーション類はSynthMasterのほとんどのパラメータに対して使用可能
 26. 2レイヤー
 27. 全体をユニゾン可能
 28. 負荷を4段階に調整可能
 29. マイクロチューニングに対応
 
 なんか詰め込めばいいだろ的思想で詰め込んだような、開発者の思想が垣間見えるような構成となっている。
 なまじ選択肢が多いと却って制作効率が落ちるとの批判もあるだろうが、音作りの発想が阻害されないというのは大きなメリットだ。シンセと戯れていたいような人であれば使いこなせようし、そうでない人は簡単な機能だけ使えばどうにかなる。
 特に音楽をノンジャンルで作っていこうとしている私にとって、使い道の多い道具は大変ありがたい。EDMに特化とかアナログサウンドに特化とかされると困るのだ。珍しい系統の音を作っていくには無駄な機能とかは欠かせない。

SynthMasterのここがいい③
 プリセットが豊富でよい
 SynthMasterの魅力として外すことができないのはやはり優秀なプリセット群だろう。追加のプリセットを買い足さない状態で1700種類ほどある。各種プリセットはジャンルや楽器の系統ごとにタグ付けされているので検索も比較的楽だ。
 ほしい音のジャンルを入力して一覧に出てきたプリセットの音を順に出してゆけば、おおよそ主要なシンセサイザーサウンドならばすぐにたどり着ける。この辺の多芸さは多機能ゆえの強みだろう。「あの系統の音ならあのプラグインだから~」などと考える必要はなく、とりあえずSynthMasterを叩いてみればそれなりのものが出てくる。
 プリセットの質に関しては私は詳しくないが、少なくともSampleTankとかに付いているような奴よりは余程即戦力になる。しかもサンプルベースと違って気に入らないところがあれば自分で手直しすることもできる。ただエンベロープやLFOがどこに掛かっているかが若干分かりにくいので、その辺は多少辛抱する必要がある。
 サードパーティー製のプリセットが出回っていないことが気になるが、使用規約にプリセット配布するなとか書いていないよね?

SynthMasterのここがいい④
安い
 しかも安い。SerumとかMassiveとかほどではないけど一流アーティストも使っていたりする代物が100ドルを切る。
 その上セールは割と頻繁に行うので、タイミングによっては69ドルとか49ドルとかになっている。ある程度評価されているソフトシンセの中では最安の部類かもしれない。その安価多機能さゆえにアマチュアの愛好者も多い印象。KVRでは結構盛んに話題に上がっている。
 私はブラックフライデーセール+学生割引で29ドルで入手しました。参考までに。



 と。
 実際多くのアマチュアはFLのシグネチャーバンドル付属のSytrusとか使ってるんだろうな。あるいは人気のあるSerumを買うか、Kompleteまで行っちゃってる人もいるかもしれない。MassiveとFM8と、あとReaktorがあれば大体のことはできるもんな……。
 でもSynthMasterはいいよ。音はしっかり太いし。GUIもかわいい。これからもよろしくね。