良いフィルターを二つ直列に繋ぐと良い音が出るんですよね pic.twitter.com/zLdiKl681w
— RykSeb@りゅうか (@RykSeb) February 1, 2024
Cherry Audio社の製品は前々から気になっていたものの、果たして自分の制作に使えるか否か判断できず手を出してませんでしたが、某雑誌の付録に付いていたのを見て入手した経緯。
機能について
基本的にはMS-20をもとに、いくつか機能追加がなされています。
- ポリフォニック化(16音まで)
- 簡易コードメモリー
- ボイスユニゾン
- オシレーターにPWM
- ノイズオシレーターの追加
- フィルターの歪みやすさを調整できるように
- フィルターのルーティングを変更できるように
- フィルターにキートラッキングを追加
- 変調周りのスライダーを増やし、操作性を改善
- ステップシーケンサーを追加
- エフェクターを追加
- その他現代のソフトシンセに必要な細かい機能を追加
なお、EGとLFOはオリジナルのMS-20から一切増やされていません。最近のシンセはエンベロープもLFOも多数搭載するのがトレンドみたいですが、ここを絞ってこそMS-20らしい音が作れるのでしょうか。良い意味で開発者の思想を感じます。
決して何でもできるシンセではありませんが、アナログ系の音色ならば大体対応できます。公式で推されている80'sサウンドのみならず、やや古めの音を使うダンスミュージックならば幅広く活躍できそうです。ただ、音を横に広げられるタイプのシンセではないです。
サウンドについて
YouTubeで(事実上の実機である)MS-20 miniの音を聞いて比べましたが、PS-20は線の細さを感じるとはいえ、ある程度以上は似ていると思います。
個性的なフィルターサウンドが有名な実機MS-20ですが、実機の音を聞いてみると、素のオシレーターがザラザラした音だったり、レゾナンスを落としてフィルターを絞ると一転して幻想的な音色になったりと、様々な表情を持っていることがわかります。やはり名機と言われるだけあって表現力のある機種だと感じますし、PS-20もこうした実機の長所をよく捉えたエミュレーションだと思います。
個人的に、Cherry Audioのシンセは全体的にオシレーターの出音が固い印象がありますが、PS-20の場合はフィルターや変調を多用するため、素のオシレーターサウンドはあまり問題にならないと思います。
プリセットパッチについて
今日にでも使えそうな音が半分、一生使わなさそうな音が半分といった様相でしょうか。汎用性の高いパッチが多いのは嬉しいのですが、「MS-20といえば!」的なサウンド、特にサイケな効果音が意外と少ない。用途によっては音を作っていくことになりそうです。幸い実機は使い尽くされたシンセなので、研究はしやすい方だと思います。
使い勝手について
GUIは一見すると難解ですが、基本的にモジュレーション用のつまみが表に出ているだけなので、慣れれば扱いやすいですね。ただし、MS-20特有の、パッチケーブルをつなぐことでデフォルトの結線を上書きする仕組みは要把握です。公式サイトのマニュアルが分かりやすいので、翻訳して読むことをおすすめします。
それにしても音作りが楽しいシンセです。シーケンサーとか、オーディオレート変調とかも簡単にマッドになれて楽しいですし、簡易コードメモリー機能のおかげで適当に弾いていても分厚いコード音が出てモチベが上がりやすいです。実機のMS-20の特徴でもある二つのフィルターによって、かなり音色の幅がありますし、パッチケーブルのつなぎ方を色々試してみると、思わぬ発見があります。
Cherry Audioの製品には、無料配布されていたSynthesizer Expander Moduleなどを持っている方も多いと思いますが、正直言ってシンセとしての楽しさはPS-20のほうが相当上だと思います。
まとめ
Korg本家のMS-20プラグインや、ArturiaのMS-20 Vは一切持っていませんが、公式デモを聞く限りでは、PS-20は他社製MS-20と比べて明るい音が得意そうですね。Korg版は軽量さと使い勝手の良さで著名で、オシレーターの品質はArturiaがベターかなあとは思いますが、CherryのPS-20は追加機能がユニークなので、よりクリエイティブな音作りを楽しめそうです。シンセサイザー好きの人向け?
気に入ったところ
- 高品質なMS-20フィルター
- 3トラックのシーケンサー内蔵
- パッチポイントの大幅追加
- 開発者の思想が感じ取れる追加機能
- ハキハキして曲中に使いやすいサウンド
- 起動が早い(重要)
- 一応微分音が鳴る
気になったところ
- オシレーターの音が固い?
- その割にCPU負荷が高い
- MPE対応を銘打っているが、MPEをONにするとモノフォニック発音に固定されるという半端実装。ユニゾンもできない
- プリセット音色はバリエーション少なめ
- GUIの視認性が微妙
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