購入経緯
結論から書くと、先日オーディオテクニカの「ATH-SX1a」という機種を買いました。放送スタジオ用のモニターヘッドホンで、価格としては16000円弱です。

4年半もの間、5000円のヘッドホン(しかもモニターヘッドホンでもない)一本で音楽制作をしていました。JVCのRZ910という機種です。買った当時は音の良さに感動してました(このブログにも当時の記事が残ってます)が、まあ、一応4年半でWebアルバムデビューも果たしたことですし、色々とそろそろ「道具に拘らない」って拘りも捨てる頃合いでしょう。


デザイン
一見垢抜けませんが、革素材とスチールで覆われたボディや、布地のケーブルや金属製ジャックなどには価格以上の上質感があります。例のごとく、どうせ3年も使えば革なんてボロボロになっちゃうと思いますが、それすらも味になってくれるのでは、と期待できるほどに道具感のあるデザインです。

放送現場を念頭に設計された、という背景もなかなかロマンがありますね。試しに本機でテレビやラジオを聴いてみるのも素敵なんじゃないでしょうか。


音質
やはりモニター機はモニター機。これまで使っていたヘッドホンと比べると、明らかに聴こえる音が増えました。旧ヘッドホンをPC直挿し→オーディオインターフェース挿し よりも遥かに、旧ヘッドホンをPC直挿し→新ヘッドホンをPC直挿し の音質向上感のほうが上です。三倍くらい上です。

定位もよく、広さはないものの、空間表現もはっきりと聞き取れます。情報量の多さと、心地良さを両立した音質です。

ちょっと重低音はボケる感じもしますが、あまり低音を緻密に作りこんだりはしないと思うので、まあいいかなと。重低音の音量自体はしっかり出ていると思います。

同等価格帯のモニターヘッドホンである、ATH-M50x、ATH-M40x、MDR-7506、K271mkII、Hi-X15も店頭で視聴してみましたが、SX1aの高音はその中で最もマイルドな部類と感じます。逆に言えば、そこを意識してミックスしないと、ほかの環境では耳に痛い音が出来上がってしまうリスクはありますね。制作中はマスターに補正EQでも挿そうかしら。


装着性
割とフィット感もあり、遮音性も一般家庭では十分かと思います。
側圧は必要十分で、ややきつさは感じますが、ズレないためには必要な範囲だと思います。

ヘッドバンドは無段階調節式で、ネジで固定します。無段階式のため左右均等にするのが面倒ですが、一度ネジを締めてしまえば調節いらずです。自分専用の道具という感じで、悪くないもんです。


総評(現時点での)
もともと、個人的に重視していたポイントは
1. 予算2万円
2. ちゃんと自分の耳にフィットする(私は頭頂部が高く耳の位置が低いため、世の中のヘッドホンの半分くらいは頭に入りません)
3. Sonyの7506、Audio-technicaのM20xなど1万円程度の定番モニターヘッドホンと同等以上の解像度を持つ
4. 遮音性が良い
5. スタジオでの使用が想定された設計
6. 高音がうるさくない
7. 低音が分かりやすい(50Hz以下まで聴き取れて、潰れたり膨らんだりしない)
8. 7506よりも空間表現を捉えやすい

注文はできる限り多くして、後から妥協したほうが後悔が少ないというのが私の持論です。結果的には、7以外は妥協しない機種を選べたと思っています。

さて、本機に+3000円くらいすると、有名なATH-M50xを買うことができます。M50xの解像度は素晴らしいもので、特にタイトな低域や、鋭敏なトランジェントによって、あたかも音を鷲掴みにしている感触すらあります。ので、まあ、ダンスミュージック作るならM50x買ったほうが早いとは思いますね。

それでもあえてSX1aを買うべき場合というのは、
・ドンシャリな音が苦手
・話し声を扱う作業(動画編集など)に使いたい
・シックなデザインのモニターヘッドホンが欲しい
・放送現場という文字列にロマンを感じる
とか、そういう場合でしょうかね。

店頭では、高確率で隣に並んでいるATH-M50xの陰に隠れてしまう機種だと思います。少し長めに(1分以上)聞いてみると、実はかなり解像度が高く、上品に鳴るヘッドホンと分かると思います。