タイトルの通りです。素晴らしいですね。と言っても日本語ではMTS-ESPが何なのか解説している記事さえ少ないのが現状です。悲しいね。

 TX16Wxは言わずと知れたフリーでも使えるDAW用サンプラープラグインで、サンプラーとして一通りの機能が揃っているのに加え、SFZ・EXS・SF2形式などでの読み込みにも対応しています。そしてそれがマイクロチューニング対応したということは、大げさに言えば、誰でも無料でマイクロチューニングを使ったどんな音楽でも作れる時代が、ようやく来たことを意味します。そして、実はTx16WXの当該アプデは2021年3月に行われていたので、12月1日の今この記事を書いているということは、私がこの重大な事実を8か月間見過ごしていたことを意味します。

 これまで、マイクロチューニング対応のサンプラーは
  • シンセサイザーの一機能としての簡易的なもの
  • Kontakt有償版
  • TAL-Sampler
  • Sforzando
  • 無料だけど簡易なサンプラー各種
くらいしか存在しませんでした(出典: https://en.xen.wiki/w/List_of_Microtonal_Software_Plugins)。当然のことながらKontaktは高価で、TAL-Samplerもそこそこの価格しますしEXSに非対応です(ただし使いやすいらしいですよ)。かといってSforzandoのほうはSFZ再生に特化しているため、SFZだけ使う分には良いですが、単発サンプルを読み込むとなると難があります。そのため、2020年以前、12平均律を拒否した前衛作曲家たちに待っていた運命とは大抵の場合、Synth-only or Kontakt or SFZ沼で溺れてdieでした。2019年の私も、Seventeen++はほぼSynthMasterだけで作っています。隔世の感ですね。

 で、どうやってTX16Wxをマイクロチューニングすればいいんじゃと。
 ここで登場するのがMTS-ESPなるソフトです。MTS-ESPとは変な名前ですが、プラグイン形式でDAWに読み込んで使い、対応プラグインすべてのチューニングを一括変更することができるものです。現在はArturia, u-he, TALをはじめ、SurgeやFull Bucket Musicの一部プラグインにも対応しています。有償のSuite版と無償のMini版がありますが、普通にSCLファイルやTUNファイルを使うのであればMini版で十分です。
 ということで、まずTX16Wxのバージョン3.5.0以降が導入されていることを確認したら、MTS-ESP Miniをダウンロードします。会員登録の必要はありません。
 で、MTS-ESP MiniをDAWで普通に音源として読み込みます。MTS-ESPの画面を開くとなんか紺色の画面が出てきますが、そこにお手元のSCLファイルなどをドラッグアンドドロップしてください。これで、そのチューニングがMTS-ESPに登録されます。
 そしてここからが問題で、プラグインによってMTS-ESPに登録されたチューニングを適用する方法が異なります。u-he Triple Cheeseの場合は何もしなくてもチューニングが変更されます。Surgeは右下のメニューから、Tuningの欄で変更します。そしてTX16Wxの場合は、右上から開くSettings画面で、ズラッと並んだ設定項目のちょうど真ん中らへんにある、"Enable MTS-ESP......"にチェックを入れることで適用されます。マニュアルに書いてなかったせいで30分間探しました。もう一度書きますが、右上から開くSettings画面のちょうど真ん中らへんです。
 すると、TX16Wxのチューニングが指定したSCLファイルの通りになってくれると思います。適当に使ってみましょう。

 あとはもう説明の必要はありませんね。皆様も7平均律とかで作曲してみましょう。もう「NO」という理由は残されていませんよ。
 7平均律については、6度(0-6)のハーモニーがよく響くという点さえ押さえておけば、12平均律におけるホールトーンとあんまり感覚は変わらないと思います。あとはガムランとかが参考になるかも。