フリーシンセ解説シリーズ13弾は、2021年8月にOnsen Audioからリリースされた最新フリーシンセOS-251です。国産らしいです。

OS-251 (Onsen Audio)
 
↑配布元↑

↑がんばって使いこなそうとしている様子↑

 機能的には地味な減算式というか、いわゆる「Yet another subtractive synth(さらにもう一つの減算式シンセ)」に過ぎないのですがコンセプトが独特で、これが触ってみると結構インスピレーションが沸きます。ローファイな出音なので使えるジャンルは絞られますが、そういうの抜きにして純粋に触ってて楽しいのが印象的でした。私は好きだなぁこういうの。ハードで欲しい。


概要

  • 割り切った設計のベーシックなポリシンセ
  • チープなデジタルシンセだった世界線のJuno
  • 仕組みはシンプルなのに陰影ある音が出る


各機能
 敢えて「ポリシンセ」と呼びたくなる機能セットです。1オシレーター、1フィルター、1エンベロープ、1LFOという構成は、80年代でこそスタンダードでも、現代ではもう縛りプレイに近いかもしれません。ベロシティも音量に反応するだけです。

 1つだけのオシレーターですが、波形は"Sin" "Squ" "Saw" "Sub Squ" "Noise"が用意され、すべて同時に使用可能です。Osc ShapeからSquのパルス幅を変更したり、Sin波を歪めたりできます(この歪んだSinの音が地味に使いやすい)。総じてオシレーターの波形はデジタル的で、高音域では折り返しノイズが盛大に発生するタイプです。個性が強いですが、結構使える出音じゃないかと思います。
 フィルターはあまり研究していませんが、レゾナンスを上げたときの感じは80'sRolandエミュのPG-8XやLuSH-101と概ね似た、明るい雰囲気の音になります。レゾナンスを低めに保つと綺麗にハイ落ちします。アナログ感とはまた違うかもしれませんが、繊細な表情を持つ良フィルターではないかと思います。ただしキートラッキングはありません。
 エンベロープはアタックにやや癖のある挙動があります。LFOは波形を選べませんが、LFOディレイ機能があるので音楽的なビブラートが奏でられます。
 地味にハイパスフィルタが付いているため、ローカットの手間が省けます。ナチュラルさを優先したためか、効きは緩めです。

 ちなみに負荷は高くはなく、かといって並外れて軽いというわけでもありません。私の環境ではSynth1の5倍程度CPUリソースを要します。同等の構成(1オシレーター、1フィルター、1エンベロープ)にしたVitalよりは負荷は低いです。

音
 OS-251がコンセプト元にしたというJuno 106の雰囲気はこんな感じです。



 言われてみれば、全体的な空気感や音の方向性は似通っています。音質は106とは別物なのにね。

 私の所感ですが、こういったフリーの減算式シンセは大概、それ自体の使い方よりも、プラグインの使い分けが一番難しかったりします。Surgeがいいのか、それともNoiseMakerにすべきか……など、そういった悩みで時間を使ってしまうのは勿体ない気はします。その分、OS-251はどんな音が出て、どんな音が出ないかが分かりやすく、使い分けしやすい機材ではないかと思います。
 OS-251特有の綺麗すぎない単純な音ってChiptuneにも通じるところがあって、割と幅広い分野で個性が活かせそうな気がしますね。しつこさが無くドライな出音も私好みで、諸々の先入観のせいかもしれませんが、どこか日本らしいシンセサウンドだと思います。


わたし的な評価
 他人に勧められる度: ★★★★★★★★☆☆(8/10)

 こういうシンプル系シンセはLokomotivに始まり最近ではGR-8など、あるいは商用でも数多く出回っていますが、特にフリーのものについては何を基準にパラメータを絞ったのか見えてこず、あえて使おう、とは思えないものが無くはない感じです。その点OS-251はJunoという確立された手本に則っていながらも、硬質でドライな独特のサウンドを持っていたりもして、普段の制作にも結構投入できそうな気がしました。テクノのリフとかによさそう。

これ作者の方が記事を発見なさる可能性があるので、いつもみたいに変に偉そうなこと書けないです。というかこれまでの評価の文体が上から目線過ぎましたね。この機会に反省します。